07/04/12
為替を気にするとき
海外旅行をするときには、だれでも為替の存在、為替相場などを気にかけます。たとえば、小額の外国通貨を持ち帰ったときに、いったいいくらで(円と)交換できるのか気になります。しかし大抵の場合は、一週間や二週間の旅行期間では為替はあまり変動しません。「損をしたとか得をした」という実感はないでしょう。しかしそのとき貴方は為替を理解したことになるんです。
かなり昔の話ですが、1971年のスミソニアン合意の時、私はアメリカに出張していました。その帰国の途、羽田まで持ち帰った100米ドルの価値が、 3万6,000円からあっというまに3万円に減少してしまったことがありました。そのときは、ショックというよりは、ドル切り下げに目が覚めた日本、なぜそうなったのか方程式を知りたいと思いました。当時は為替政策などというしゃれたものはなく「なすがまま」の円・ドル調整でした。
こんにちではれっきとした為替政策があり、政府と日銀は常に微調整の介入をして、景気への影響をなるべく小さくしようとします。今ではどの国も介入が公然と認められていますが、かつては輸出を促進するための円安誘導だとして他国にずいぶん批判されたものでした。さて、そこで、為替と株価の関係を考えてみますと、投資家の対外投資(外国株と外国債)は為替の影響がありますので、円高がリスクになります。そのリスクを最小にするためにドルをあらかじめ現在の値段で売っておくことで、為替のヘッジができます。企業の立場では、輸出と輸入の商品の決済が先に来ますので、やはりあらかじめ為替のヘッジをしておきます。裸にしておく企業もないではないですが(ヘッジをしないこと)、今では為替のリスクを背負い込むほど皆お人よしではありません。かつてホンダが営業利益のほとんどを為替で失ったことなど、話題になりました。
輸出企業には常に為替のリスクがありますが、みな知恵を絞ってリスクを最小にするべく努力していますので、安心です。ただ全ての受け取り金額分をヘッジしてしまうと、逆に円安になったときに為替のメリットが生かせないという弱点もあるにはあります。しかし、経営計画の中に予想もつかない為替動向を組み込むのは土台無理がありますので、企業はニュートラル(為替損益がゼロになるようなポジションをいう)にします。「円安―それ輸出株を買え」という図式は昔ほど顕著ではないようです。とはいうものの、円安が続けば売値が上がってゆき、輸出産業は潤いますので、一応輸出産業にはプラスの材料であることは確かです。
アナリストはそのあたりを経営者に確かめて、為替の影響を探ります。輸出総量に今期円安分を掛け合わせて、その分の利益を上乗せして今期経常利益をはじき出しますが、為替は6カ月くらいで反転しやすいので、そういった材料はチョットだけ効くと考えたほうがいいでしょう。つまり円安、円高に賭けた投資判断はとても難しいということです。思わぬ円安で株価が上がった時はラッキーだったと考えましょうか。
為替が動く要因はいくつかありますが、いつも同じではなくそのときの国際情勢などに影響されます。時には内外の金利差で動き、またあるときは地理的条件(北朝鮮ミサイル発射の周辺国の通貨を売るといったような)、また有事の時のドル支持など、世界中で取引されている為替の相場は、我々の及ぶところではないですね。よく「ドルに投資しよう」とか「豪州ドルを買おう」などといったキャンペーンを、金融機関の店頭で見かけますが、外国の高い金利は投資家にとって確かに有利に働きますが、為替レートがいったん動きだしたら、金利の差などアッという間に吹っ飛んでしまいます。
更新日
2007年04月12日 木曜日
![]()
トラックバック
このエントリのトラックバック URL
![]()
コメント
コメントフォーム
なにかコメントがありましたら以下のフォームからどうぞ。

