07/04/17
少数株主はどこに……
2006年12月中旬に大手の水産食品加工会社2社が統合を発表しました。統合はM&Aのひとつで、持ち株会社を作って両方の会社の株式を持って経営してゆくというもの。ほかの合併と違うのは、HD(ホールデイングカンパニー)を利用することです。その是非はともかく、統合とか合併の発表のたびに気になることがあります。企業同士がなぜ合併するかといえば、1+1が2以上になることを目的とするからです。合併には業績不振で追い詰められた合併、これから大きく拡大してゆく合併、お上に頼まれて救済しなければならない合併、などいろいろですが、よく強調されているシナジー効果もほどほどに、期待が大きいと間違うかもしれません。1+1を2以上にできれば無論成功ですが、両者とも弱体の場合は1+1が1.8になってしまいます。1+1が2ならば、なんのための合併かと疑問も出ます。
合併で最も期待されるのは、相互に弱点を補い合う関係(工場の分布、製品の多角化、市場のすみ分け)でしょう。そして所期の合理化が達成できればしめたものです。今回の水産食品加工の場合は、市場での価格決定権を大手小売業に取られて、苦し紛れの統合と見られても仕方ありません。この統合が成功するか否かは両社の意思統一が何処まで行われているか、その結果合理化を何処まで進められるかにかかっているようです。発表を新聞で読んでみますと、新会社の社名と会長、社長、四事業に集約が決まったほかは未だなにも決まっていないようです。たったそれだけ? 合併比率はどうなるの? 両経営陣はあせったのか、すこし早すぎる発表のような印象があります。日本企業の合併の発表時にいつも失望するのは、株主へのメッセージがまったく無いこと。最終的には挨拶状が届きますが、その「合併の狙い、その後の成長への寄与」を株主にできるだけ早く伝えて、持ち株を簡単に投げないように説得すべきです。つまりは「この合併は株主のあなた方にはこのようなメリットを用意できます」といったメッセージが欲しいです。
合併を発表する前に(マスコミにもれてしまったら仕方ないですが)準備万端、多くの想定をして「アクションプログラム」を用意しておくべきでしょう。そして最後には株主に対して、その合併がいかに効果的かを説明しなければなりません。できれば(今まで誰もやったことがないのですが)一株当り利益がどのように増えるのかを、財務戦略とともに説明して欲しい。こういう主張は今の日本の経営陣には通らないでしょう。しかし、IR,PRを心から大事に思う経営者だったら、欧米のようにそこまで突っ込んだ予測をして欲しいものです。ということは、今の経営者は心底から株主のために会社を経営していると思っている人は少ないということになります。せいぜい、大株主の意向を気にする程度でしょうか。
私たち個人投資家は、会社の大転換の時期には積み残し、ほって置かれがちです。TOB(買収をかける)時は大株主は成功のかぎを握ります。究極には個人株主もちりも積もればで、大事な存在。しかし合意の合併なら個人株主など眼中にないのかもしれません。ちょっと待ってください。合併の比率、そのごの合理化計画の内容によっては大きく売られるかもしれません。逆に買われるかもしれません。株主、投資家はとても判断力があり、けっして単なる烏合の衆ではありません。株主は誰であろうと情報は正確で早いのを望みます。トップ同士の了解があったらなんでもオーケーなどというのはいまどき時代遅れです。合併の過程では組合の反対、公取の介入、顧客の反対等などいろいろの問題が発生します。私たち個人投資家はその成り行きをジックリ見守りたいものです。また合併比率がゆがんでいたら、直ちに買い(売り)出動する機敏な人も出てくるでしょう。
更新日
2007年04月17日 火曜日
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