07/05/29
機関投資家の投資
機関投資家というのは個人投資家の対極に位置する投資家です。ということは、投資の仕方や態度が個人とは逆になりがちです。そのあたりを教えて差し上げましょう。機関投資家の投資資金は多額です。少なくても数十億円はあり、多ければ数兆円にもなります。それだけに多くはチームで投資します。ワンマンを売り物にしてファンドを販売するところもありますが、その場合はその有力な運用者が転勤したり、辞めたりすると一気に人気がなくなるリスクがあります。ワンマンでも、小額の投資資金でも、やはり数人のアナリストやアシスタントを抱えていることが普通です。個人は一人で投資しますが、機関投資家ならば一人でなんでもするということはあり得ません。多額の資金で多くの勘定を持つ機関投資家は、数人以上のファンドマネジャー、アナリスト、クウオンツなどを抱え、その会社のカラーを出そうと努力します。さらに優秀な販売担当チームやITチームも加わり50~100人の規模に膨らみます。
ファンドマネジャーは一人で何でも出来ないので、当然アナリストの力を借ります。近年、日本の機関投資家も投資先の企業の経営者とよく会うようになりました。アナリストは文字通り分析をして、銘柄推奨をしますが、ファンドマネジャーはその報告を聞いて運用するばかりではなく、自らアナリスト同様に経営者に会います。普通、企業は誰にでも会いますが、問題はその企業の発信する情報をどのように料理するかということです。先のことは誰もわからない。企業の事業内容をよく把握して将来を占う。そこで差が出てきます。アナリストの企業分析の質、ファンドマネジャーの経験などが資産運用の成果に大いに影響があるわけです。個人では満たされない企業の経営者との会話で得られる多くの情報は貴重です。となると、機関投資家の成果は個人よりも良いということになりそうです。
その答えはイエスでもありノーでもあります。個人はライブドアのような銘柄、ひと銘柄に投資して3倍も4倍もふやすことがありますが、機関投資家は100銘柄も200銘柄ものポートフォリオを組みますので、市場そのものに似てきて、日経225とかトピックスに近い動きになります。機関投資家がベンチマークを持って、比較しているのがいい例です。ベンチマークの選び方は、ファンドの目的によって変ります。投信を購入するときは、その投信のベンチマークをまず勉強してください。長期間でベンチマークを上回る成績を上げている投信が優秀な投信です。アナリストの力量にもよりますが、100銘柄のうちにはガラクタ銘柄も入り込んできます。ということは玉石混合している銘柄のうちどのくらい上がっているものが入っているかが鍵となります。有力なアナリストが普通に調査をしていれば、また割安株を組み入れていれば、60~70%は成功しているはずです。
ポートフォリオを考えるということは「全体でどのくらいのパフォーマンスになるか」ということで、個別銘柄の株価の上げ下げばかりを追求するものではありません。つまり10戦10勝などということは不可能です。個人ならば銘柄数は少なくて2戦2勝は可能でしょう。ではなぜ目覚しい投資成果の上がらない投信にお金が集まるのでしょうか。それは個人にはない特色を持っているからです。
多くの銘柄に投資しておけば安全、相場が壊れても資金がなくなったりはしません。個人ではライブドアではないですが、折角の投資資金が消えてしまうこともあります。個人ではなかなか買えない優良株をどっさり持っています。運用の視点が長いので、企業成長をそのまま享受できるわけです。配当もありますし、配当再投資すればいい利回りになります。
お金は一年でどのくらいふえればいいのか。銀行預金では0.5%くらいです。不動産投信では4%とか5%です。株式はリスクが大きいのでリターン(利回り)も高くなければなりません。10%とか15%は欲しいところです。個人では株式投資は不利なことが多いので投信を買いましょうということになります。ただ経験をつんでくると、個人は自分で投資するのが面白くなります。そのとき、機関投資家の投資のやりかたを理解していると、一か八かの投資は危ない、もっと地に足の着いたゆったりした投資をしようかという知恵が生まれるわけです。
機関投資家は大手の顧客と相対契約をむすんで資産運用もしています(政府とか大企業の年金など)。大体は上記のような運用のやり方です。ただ機関投資家ならではの制約があります。報告義務は顧客に必ず報告しなければなりません。説明義務は常に顧客に運用の内容を説明しなければなりません。約款というものがあって、それに従って運用しなければなりません。つまりは個人と違い制約が多いのです。なかなかしんどい仕事です。
更新日
2007年05月29日 火曜日
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