07/05/08
社長というもの
私も一時小さな日本法人の社長を務めていました。しかし、この欄は社長一般というより、「ファンドマネージャーの観察してきた社長」のいろいろを話してみたいと思います。まず自分自身のことは棚に上げます。そうでないとなかなか書けません。
社長は会社の代表です。無論名実ともに会長のほうが実権を持つところもありますが、その場合は社長にスポットライトを当てても空振りになります。なんと言っても株式投資を考える場合は社長が企業そのものの価値を代表することを認識しなければなりません。一般の消費者なら、商品(使っているシャンプーとか、乗っている車)を理解すれば、メーカーの良さと悪さがわかります。しかし、投資家となれば、なんとしても社長を知らなければなりません。
社長は、企業の価値を代表します。当たり前です。企業の価値は多様ですが、まずもって社長が1番。そしてビジネスのモデルとか人材、資産、技術に収益性、成長性といった要素が続きます。社長は多くの資源を自由にできる立場にあり、最も権力が集中していますから、会社の内部に緩みがあったり、株主のために努力しなかったりということになれば、真っ先に社長がその責任を負うということです。仕事をすすめるにあたって、何千人という社長にお会いしました。結果はとても勉強になりました。
1 IRの全てを仕切る社長: IRは本来社長マター(担当)です。PRは広報部の担当ですが、IRともなると社長がリードするのが理想です。一人でノートパソコンを携えて投資家に会いにくる社長。合理的な人手、無駄を嫌い、同時にこの年で「パソコンを苦もなく操作できる」という暗黙のメッセージを伝えています。お見事。
2 役員や部長に囲まれている雛壇の社長: IR活動は到底自分の手に負えないとばかり沢山の部下に囲まれている社長。社長が出てきたとばかり張り切る投資家の質問は部下に丸投げ。「貴方の仕事はなんですか?」と問いたくなります。「貴方は会社のデータを話したくないの? 経営哲学を語りたくないの?」と声なき声の質問あり。
3 逆に質問する社長: 余裕があります。ひと通り会社の業況を説明して、かつ投資家からの質問を受けたあとに、投資家(アナリスト、ファンドマネジャー)に向けて質問する社長が時々みうけられます。「貴方は我が業界の欠点が何処にあると思いますか?」「この業界の中で、わが社をどう評価していますか?」など“自己を客観的に見ようとする“ 努力を惜しまない社長は立派です。「今回一時的に減配しますが、投資家の貴方はどう受け止められますか?」なんて格好いい逆質問だとおもいますよ。
4 自分史語りに終始する社長: 逆境の中でいかに苦難に立ち向かったか、自分がいかに会社の発展に貢献したか、自分は会社をどのような経営方針で引張るか、などを懸命に語る社長。それはほほえましいです。しかし会社は一人では成り立たず、また役員、社員の努力も大いに貢献していることを、あまり感じていないとしても、投資家の前ではそれも語るほうがよろしいでしょう。そして「ビジネスモデル(儲ける仕組み)」を是非語ってほしいです。
5 くさいものには蓋の社長: いい話、耳に心地よい話はしやすいですが、投資家を失望させたり、気落ちさせる話はしたくない。よーく、わかります。投資家はいい話も悪い話もわけ隔てなく聞きたいのです。それが投資の際のリスクを軽減するからです。「質問がなかったからお話しませんでした」はいけません。「今日は、いいお話はありません」と言われても、私は動じません。「悪い話が聞けるのも大事ですから」と追いかけます。
6 IRをまったく理解しない社長: では、なぜ投資家を訪問したか。それは幹事証券が「行って来い」と薦めたからです。幹事証券には上場のとき、また株式、債券発行のとき大いにお世話になっていて、言うことを聞かざるを得ない。リハーサルどおりにお話されますが、まぁ心がこもっていません。このことはつまり「投資家を無視した経営をしている」に違いないと印象づける態度です。
などなど、まだいろいろありますが、社長が企業価値の最大のファクターだとすれば、投資家への説明は(相手が個人であれ、外人であれ)最大の努力を傾けなければいけません。社長が軽く見られたら、その企業が安く見られることと同じではないでしょうか。
更新日
2007年05月08日 火曜日
![]()
トラックバック
このエントリのトラックバック URL
![]()
コメント
コメントフォーム
なにかコメントがありましたら以下のフォームからどうぞ。








