07/07/10
持ち株がM&Aに遭遇しても単なるラッキー?!
最初におさらいをひとつ。Mはマージャーで「合併」、Aはアクイジションで「買収」ということ。つまり、A社がB社と一緒になることが「M」で、A社がB社を買うことが「A」です。日本では「合併」はもともと企業救済色が強く、“弱いもの同士で一緒にやろう”という傾向があるので、果たしてシナジー(合併効果)がどれほど出るのかわかりません。当事者もいまひとつ掘り下げてシナジーを計算しているかどうか、疑問のあるところです。また「対等合併」が多いですが、企業同士が対等ということはタテマエ上の約束であって実態ではないので、投資家がミスリードされやすいと思います。対等合併が発表になったときは、効果が読めないのでとりあえず見送ります。トップ同士で「合併」を約束して即発表することが多く、合併に伴うコスト削減、合理化、新事業への投資、設備廃棄、役員の整理などが同時に発表されないからです。「資本政策を含めて一株当たりの利益が合併後に変化する」などと言及できる本格的経営者を、私はこの国で見たことがありません。
しかし合併が成功している例も少なくはない。中国ブームという環境に恵まれた鉄鋼会社の合併、ヒットが続くゲームソフト会社の合併などは、合併とその後の経営努力が実を結んでいます。個人投資家としては「合併」はA社株かB社株の安いほう(合併比率に注意)を買って短期に楽しむ手があります。中長期には成功か失敗かがよく読めないというのが本音ですが、いずれにしろ2〜3年後の株価が答えになるでしょう。
一方「買収」の方は趣が異なります。昨今メデイアを賑わせた敵対的買収案などはこの分野です。M&Aは本来「社会的事件」ではなく「市場経済行為」ですから、20余年も海外の例を見てきた私には、あまりにも騒ぎが大きくてあいた口がふさがりませんでした。さて、買収には「友好的」と「敵対的」があります。いずれにしろ買収を仕掛けた企業は成功を前提に採算を目論んでオファー(申し入れ)してきます。被買収企業(買われるほうのB社)は「そうですか、ならば売りましょう」ということはほとんどなく「やられた、何とか逃れよう」との強い反対を表明します。そこで、B社の株式をかき集めるため、A社はビッド(買い付け価格)を引き上げるのです。AおよびB社株を持っていれば、投資家として大変面白い経験をしますが、持っていなくともB社株を買ってビッドが上がってゆくのを楽しむ手があります。
A社がB社に買収を仕掛けるのは、B社に大きな価値ありと認めるわけですが、「一株当たり利益」を基準として投資判断をしてきたアナリストなどは、途方もない金額のオファーに戸惑いを隠せません。そこで「企業には利益だけではなく、資産、技術、人材、市場占有率やブランドといった大きな価値がある」ことを学ぶのです。
よく「被買収企業候補一覧」などと株価純資産倍率の低い企業を並べた一覧表などを見かけますが、「個人の限られた資金」で待ち伏せなどはできるはずもなく、単なる絵に描いた餅に過ぎません。B社株を保有していれば高値で売り抜け、持っていなければAおよびB社株を短期に売買しても意味があります。「合併」だけの成功率は世界的には20%か30%。苦し紛れの合併も少なくないので、あまり肩入れするほどのことはありません。一方で「買収」は両社の思惑が入り、また買う側も買われる側も、一種の賭けになるので投資機会は十分あるでしょう。
結論として、
「M&Aに遭遇したのは単なるラッキーな出来事と受け止め、もともとしっかりした企業を割安で投資している」ことが大切。
悪い投資家は
「飛び乗り、飛び降りして儲けてやろうと、うろうろ情報を取りあさり、結局自分のペースを忘れてしまう人」でしょうか。
更新日
2007年07月10日 火曜日
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