興研株式会社
防じん、防毒マスクから
医療・環境分野に注力
JASDAQ:7963 決算期:12月
防じん、防毒マスクから
医療・環境分野に注力
興研の創業は1943年。創業者の酒井義次郎氏が、興進会研究所を設立したのに始まる。52年には法人化し、研究中だった防じんマスクが国家検定に合格し事業の基盤を築いた。現在、人間の生命に関わる「クリーン、ヘルス、セーフティ」を事業のテーマとして、高い技術をベースとした製品を供給することにより、社会に貢献することを目的にしている。
同社株式は、地下鉄サリン事件や、9.11テロ勃発の際に市場で話題になった。普段は地味なニッチ企業だが、防じんマスク・防毒マスクの数少ない国内メーカーであり、注目を集めた。
最近では医療分野、環境関連分野での新製品開発に注力しており、研究開発型の総合環境企業を目指している。従業員206名のうち、3分の1を超える70名が技術者という技術オリエンテッドな経営も注目される。
同社の事業の概要を2007年12月中間決算で見ると、売上高3,587百万円のうち①防じんマスクが2,046百万円で57.0% ②防毒マスク666百万円、18.6%、③防じんマスク・防毒マスク関連その他製品587百万円、16.4% ④環境改善工事・機器286百万円、8.0%となっている。
防じんマスク、防毒マスクは国内の一般産業向けが中心のため、石綿対策用の防じんマスクの需要が2005~06年に急激に伸びたが、この分野においては一段落し、その後一定の水準で留まると見ている。
今後は後述の呼吸追随形ブロワーマスクを中心とした新製品を投入して、国内のシェア拡大を目指すとともに、環境改善機器・設備を含めた製品群で災害対策や医療施設向けの新たな市場開拓を図っていく方針だ。
防じん、防毒マスクの輸出は、現在アジア向けが中心で売上の5~10%を占めている。
直近の業績である2007年12月期第3四半期の業績の概要は以下の通り。(単位:百万円、%は対前年同四半期比)
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 |
四半期(当期) 純利益 |
|
|
2007年12月期 第3四半期 |
5,348 (△4.3) |
517 (△14.5) |
445 (△9.8) |
197 (△13.9) |
|
2006年12月期 第3四半期 |
5,591 (18.5) |
605 (-) |
493 (-) |
229 (-) |
| 2006年12月期 | 7,785 | 833 | 694 | 348 |
| 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | |
| 2007年12月通期 | 7,800(0.2) | 840(0.8) | 700(1.1) | 350(0.5) |
同社は、産業用の防じんマスクでは、国内トップのシェアを誇るが、2004年に防じんマスクの新方式として、呼吸追随形ブロワーマスク「BL-50型」を発売した。
ブロワーマスクは以前から存在したが、価格が高く、電池の消耗もあった。連続的に電動ファンを回すため、余分な粉じんまで吸引し、フィルターの目詰まりを起こすなどの欠点があった。「BL-50型」は呼吸感知機構、制御機構、ブロワー、バッテリーなどすべての構成品を極小化して、バッテリーを除いて半面マスクの中に組み込んでいる。息を吸うときにだけファンが回るため、マスクをしていることを意識せずに、自然の状態に近い形で呼吸することができる。
同社では「BL-50型」は安全性、作業性、経済性すべての面において性能向上が果たせ「防じんマスクのスタンダードとなる」としており、同シリーズは、既に、トンネル工事作業をはじめ、溶接作業、石綿除去作業、歯科技工作業など、幅広い分野においてその需要が拡大している。
興研が今後、注力する分野として上げている一つが環境改善機器・設備の分野で、代表的なものに、化学物質のばく露防止に有効な換気対策を行う「プッシュプル型換気装置」がある。(写真は卓上型のラミナーテーブル)
プッシュフードから同一ベクトルの空気が吹き出し、作業エリアで発生する化学物質をとらえて、プルフードに吸い込む。この気流によって作業者は発生した化学物質を吸い込むことがなく、安心して作業ができる。
同装置は滅菌作業、ホルマリン使用作業などの医療用のほか、一般産業での機械溶接、塗装ラインなどでも使用されている。
上記の環境関連装置から医療用設備への発展のほか、同社が今後の医療用分野開拓の主力として位置づけているのが、2007年2月に医療用製造業許可・販売業許可を取得した全自動内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍」(かがみないし)だ。
内視鏡の利用は医療現場で進んでいるが、その洗浄消毒作業では労力と時間、費用が使われてきた。細菌やウイルスによる感染を防ぐための完全な洗浄消毒が必要である。興研は強酸性・強アルカリ性電解水生成装置を内蔵し、自動ブラッシングシステムを搭載した全自動の「鏡内侍」を開発し、医療用機器分野への参入を果たした。
今後の展開が期待される。

