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荒れ相場を乗り切るための心理学講座 第8回「投資の呪いを解く魔除け」

荒れ相場を乗り切るための心理学講座
第8回「投資の呪いを解く魔除け」
世界三大投資家の共通点
「世界三大投資家」とも言われる、バフェット、ソロス、そしてジム・ロジャーズの三氏。実績はなんと言ってもバツグンで、たとえばバフェット氏の「安すぎると株価の方から訴えてくるぐらいでなければ、激安株とは言えません」や、ロジャーズ氏の「大もうけするためには絶望が支配している間に足を踏み入れなければダメだ」なんてセリフは、投資を超えてまるで偉大な人生訓のように私たちの心に深く響きます。
そう、実は世界三大投資家に共通しているのは、人の心理を洞察して相手の気持ちに「刺さる」言葉を操ること。実際、ソロス氏はこんな風に言っています。
「金融市場を支配しているのは数学ではない。人間の心理だ」
この連載も、「進化心理学」というコンセプトを通して投資家が陥りやすいワナを明らかにしてきましたが、今回はこれまでの集大成。口に唱えるだけで心理のワナを避けられる、便利な「おまじない」を紹介します。ぜひ日々の投資で使ってください…というか、実はこのおまじない、投資に限らず生活のあらゆる側面で「効く」ので、趣味の分野や仕事でも、はたまた恋愛を成就するためにも使ってみてください。
ではさっそくそのおまじないを紹介すると、「CRACSS (クラックス)」と言います。心理のワナを避けるためのポイントを英語でまとめたもので、Commitment (コミットメント:一貫性)、Reciprocity (レシプロシティ:返報性)、Authority(オーソリティ:権威)、Comparison(コンパリゾン:比較)、Sympathy(シンパシー:好意)、Scarcity (スケアシティ:希少性)から成り立っています。
Commitment (コミットメント:一貫性)
これは文字通り一貫性で、首尾一貫した行動をとろうとする人間の心理を指します。誰もが心当たりがあると思うのですが、一度言い出したことを翻すのはとても勇気がいりますよね。万が一前言を撤回しようものなら、強い後ろめたさを感じてしまいます。ところが、この心理が悪くはたらくと投資にはマイナスで、投資をするという意思決定を覆せなくて「損切りできない」のは、典型的な一貫性が誤作動してしまった例です。
Reciprocity (レシプロシティ:返報性)
「返報性」というとちょっと難しい言葉ですが、要するに「何かをしてもらったらお返ししたい」という人間の基本的な心理です。投資で言えば、昔儲けさせてもらった株に「恩義」を感じてついつい意味もなくまた買いたくなるのは、心理のワナに他なりません。
Authority (オーソリティ:権威)
人間は権威に弱い、というのはみなさんご存じの通り。投資で言うと、高名な評論家の話は疑うことなく信じてしまう、なんてのが当たります。あるいは、他の投資家と同調してしまうのもある種の「権威」に負けてしまっているのかもしれません。たとえば多くの人が買いを入れている局面では、ついつい自分も右へならえで買ってしまう。ところが気がつけばそこから株価は転落で…という「高値づかみ」は大勢の人という「権威」にしたがってしまった愚者への罰とも言えるでしょう。
Comparison (コンパリゾン:比較)
比較した上で得な方を選ぼうという心理は、お買い物の時とかに我々を知らずにコントロールしていることがありますね。たとえば車を買う時なんて典型的で、200万円の車両本体価格はかなり厳しくネゴシエーション。セールスマンを相手に1万円でもいいから値引きを引き出すわけですが、一段落ついたあとで「ところで、カーナビは20万円なんですけど、つけますよね?」というトークにはあっさりイエスと言ってしまう。200万円と比較をすると20万円は小さく思えるからですが、投資で言うと、大きく損をしたあとでは、多少の損失が小さく見えて、かえってリスクをとりがちなのがこれに当たるかもしれません。
Sympathy (シンパシー:好意)
好きなものは好き、と言う当たり前の心理は、投資で言うと「ホームカントリー・バイアス」なんて形で現れてきます。投資家の多くは日本の株が大好き。分散投資のためにあの会社もこの会社も…なんてやっているつもりでも、より大所高所から見ると日本に一極集中投資しちゃってますよ、それ、なんてことは良くあります。
Scarcity (スケアシティ:希少性)
残り少ない物はどうしても欲しくなる、と言う心理も多くの方が体験していることでしょう。たとえば日常生活でも、「○個限定」セールとか、季節限定商品にはついつい手が伸びてしまうもの。投資ではアヤシイ儲け話にはこの手のセールストークが必ずついてきます。「今ならまだ申し込めます」とか、「これは一部の会員様にのみご案内しています」なんてトーク、聞いたことありませんか? ところが、あとになって真っ赤なウソだと分かり、なんであの時に焦るようにお金を出してしまったんだろう? と自分の行動に疑問を持ったとしたら、それは「希少性」に操られていたんです。
