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※2007年12月現在
この1年間の駐車場業界を取り巻く環境の変化について教えてください。
昨年のビジネスレポートにおいて、コインパーキング業界は新たなステージ(効率化ステージ)に入りつつあると申し上げました。効率化ステージの意味するところの一つ目は、マーケットの効率化です。具体的には、駐車場の需給によって駐車料金が大きく変わってくるということです。たとえば、東京の中心部では2年前には1時間600円だった料金が、今では1,500円に上昇している場所が出始めているほどです。二つ目は、賃借駐車場における賃料の効率化です。従来の賃料は、周辺の月極駐車場相場との比較感によって決まる要素が大きかったように思いますが、だんだんと、同業他社間の競争に引っ張られる要因が大きくなりつつあります。昨年の道路交通法の改正や、大都市圏の地価の上昇がこのような変化に大きく影響していることは言うまでもありません。今後も、洗練された運営管理体制や営業体制の強化がより必要になってくると思います。
最近の変化や、何か変化の兆しのようなものはありますか。
当社は賃借駐車場だけでなく、土地を購入する自社駐車場もやっていますので、新築マンションの契約率が下がっていること、また、2007年6月に改正建築基準法が施行されたことで、マンションやビルの耐震基準が厳格化され、建築確認に時間がかかるようになったことは、賃借も購入も両方にとってチャンスが拡大したと言えるかと思います。
当期(2006年10月~2007年9月)の営業の概況については、いかがでしょう。
コインパーキング業界全体が、昨年の道路交通法の改正による好調の反動を受けたと思います。これは業界共通のビジネスモデルである賃借駐車場に限ったことですが、駐車料金相場の上昇によって同業社間の新規駐車場獲得競争が激しくなり、それによって用地の賃借料が上昇し、また新規駐車場の拡大による先行コストも増加しました。そのためプラス要因よりもマイナス要因が一時的に大きくなりました。当社は、このような賃借駐車場の反動をある程度考慮した当期計画をたてていたこと、利益率の高い自社駐車場の比率が高いことによって計画値には若干届かなかったものの、増収増益を確保することができました。
最近、コンパクトシティという言葉をよく聞きますが、地方展開と関係がありますか。
昨年6月の道路交通法の改正はマスコミで大きく取り上げられましたが、むしろ当社にとっては、2ヵ月後の8月に改正された中心市街地活性化法の方が、非常に大きな変化だと認識しています。これは、ごく簡単に言いますと、改正前の法律では機能しなかった仕組みを実効性のあるものにしようという点と都市の中で活性化すべき地域を選択し集中するという点です。「コンパクトシティ」という言葉はここからきているのだと思います。2007年2月に、青森市と富山市が第1号の認定を受けましたが、幸い、当期において青森市で2件、富山市で1件の自社駐車場を開設することができました。街の活性化に一役買えますし、活性化すれば当社の収益向上にもつながります。
当期は新たに9県で運営を開始することができ、32都道府県まで地方展開が進んでいます。

地方展開をするうえで
“不動の地域一番”戦略を掲げられていますが。
実際には同時並行的に進めていますが、3段階に分かれると思います。1段階目はアプローチです。地元の不動産会社や地方銀行へ「土地を購入するというアプローチ」をします。仲介料や融資につながるので、少ない営業員でも多くの情報が入ってきます。2段階目は「土着化と衛星的展開」です。ひとつの土地が購入できると、地主になる(土着化)わけですから、地元不動産会社、銀行に加え、ご近所ネットワークもできあがってきます。すると、自社駐車場を中心に、土地を借りる賃借駐車場も周りに開設できる(衛星的展開)こととなります。これが進んでくると、3段階目の文字通り「不動の地域一番」となります。

「不動」というのは、自社比率をなるべく高めて、解約リスクを減らし、地元に根付いた駐車場にすることです。「地域」については、最小単位を「町」、次に「市区」、その次に「都道府県」と位置付け、「小さな地域の一番から大きな地域の一番へ」という目標を掲げています。「一番」については、地域における駐車場の「車室数」「件数」「存在感」の3つの点で「ひとつの一番から3つの一番」を目指しています。
さきほどのコンパクトシティは現在(2007年10月)18市が認定され、今後も続々と認定されると思いますが、これらの市と同調して駐車場の拡大を図りたいと思っています。
収益性の向上という点ではどのような施策がありますか。
事業ポートフォリオという面と売上の最大化、コストの最小化という面の2面があると思います。まず、前者について、当社の駐車場は、利益率の高い順に「証券化駐車場」「自社駐車場」「賃借駐車場」となっています。証券化駐車場は会計基準が昨年9月に変わったので除いて考えると、利益率は自社駐車場が高いが、量的拡大には賃借駐車場の方が適しているという関係にあります。したがって、今後も自社駐車場の取得を積極的に進めながら、両者のバランスを考えながら舵取りをすることが大事だと思います。後者については、従来から「立地判断の標準化」「車室設計の標準化」「オペレーションの標準化」を推し進めています。駐車場の立地や土地の形状は二つとして同じものがないため、マニュアル化ではなく、スタンダードを決めそれとの違いによって判断していくというやり方です。また、当期から売上の最大化の施策として「地域共通サービス券」を水戸市、甲府市、長岡市の3市でスタートしました。
地域共通サービス券というのは、どういったものですか。
同じ地域で運営している当社の駐車場ならどこでも利用できる駐車サービス券です。したがって、地域一番戦略と関係するのですが、地域において車室数や件数がある程度高いシェアーに高まった時点でスタートします。具体的には、当社が地元の商店にサービス券を販売し、商店はお店で買い物をされたお客様に無料でサービス券を配るという従来からある仕組みですが、地域共通に使用できることによって地域全体の駐車場利用者の囲い込みを図ることができます。商店にとっても自前で駐車場用地を確保するにはコストが高すぎる、街にとっても郊外からの買い物客が多くなれば、街全体が活性化し、地域にとって好循環が起こると思います。
中期的なビジョンについて、お聞かせください。
コインパーキングビジネスが登場したのは1990年代初頭で、それから15年が経過しましたが、この業界は依然として成長を続けています。潜在需要は5兆円とも言われ、まだまだ成長余地の大きい市場です。だからこそ、中期的にも賃借モデルでの競争は激しくなるでしょうし、新規参入もまだ増えると認識しています。このモデルのリスクは、持続的成長を阻害する解約リスク、コスト増につながる賃料競争です。業界に先駆けて開始した自社駐車場や証券化駐車場は、一面ではこれらのリスクや競争を軽減するためですが、他面では、「駐車場と不動産と金融の融合」を実現し、当社の中核的な強みにするというプロセスでもあります。今後とも確固たる事業基盤の確立と持続的な成長を目指していきたいと考えています。
配当についてはいかがですか?
「産業は労働集約型から装置集約型、技術集約型へ変化していく」という基本的な考え方を持っています。つまり、投資が少なく儲かる業界には参入企業が多くなる→競争激化による価格競争→利益率が低下し多くの会社が淘汰されると考えており、競争に打ち勝つためには、将来に向けた投資が欠かせません。優良な投資対象(好利回りな駐車場用地)が存在する事業環境においては、配当を出すより投資をした方が株主価値の向上につながると考えております。自社駐車場と証券化駐車場を合わせた投資残高は9月末現在116億円となっており、安定的な好利回りは当社の強みとなっています。景気や金融市場、地価動向、駐車場のマーケット、当社の財務状況など総合的に判断していきたいと考えています。
最後に、企業の社会的責任(CSR)について、どのような考えをお持ちですか。
当社は、「次世代の豊かさを犠牲にした成長は、進歩ではない」「クルマ社会における豊かな駐車環境の提供を通じ、より良き地域社会と地球環境の次世代への継承に貢献する」というCSR基本方針を定めています。日本は慢性的な駐車場不足問題を抱えており、駐車場の開発は地域における社会基盤の整備そのものと考えています。また、駐車場を拡大していくことで交通渋滞が緩和されCO2やNOxの削減という環境問題の解決にもつながります。
昨年から温暖化ガスの「削減と吸収」というコンセプトのもと、軽自動車専用車室の設置、省エネ型自販機の設置及び自販機の売上の一部寄付など様々な取り組みを行っています。また、環境意識を高めるため、当社と社員全員が「チーム・マイナス6%」に参加しています。今年の社員研修では森林の間伐や植林も行い、社員全員がきれいな空気を吸い、いい汗を流しました。






